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2006年9月 3日 (日)

凹レンズをフィルターのように使う

■トイレンズで写真を遊ぶ 8

ピンホールカメラが自分が求めていたものとは、ちょっと違っていたことが、実際に撮影してみて確認することができた。私が求めていたのは、レンズの収差等に見られる味の部分なので、レンズのくっついていないピンホールカメラにそれを求めても仕方がないことだったのだ。

さて次は何をやってみようかと思いながら、凹レンズをカメラの前にかざしていたら、ピントが合うことが分かった。ということは、このまま撮影ができそうだ。凹レンズはケンコー光学のホームページで見つけて、購入したものだ。何か周到な計画が合ったわけではなく、手持ちのレンズと組み合わせれば、画角を変えたりできるんじゃないかと思い買っておいたのだ。

一眼レフカメラにマクロレンズ(ニコン60mm)を付け、レンズの前に凹レンズを翳しながら撮影したのが、以下のような写真。黒い厚紙を2枚用意して真ん中に丸い穴を開け、レンズをサンドイッチにして使ってみた。

◇凹凸レンズ

先に公開したフニャフニャシフトレンズとの違いで言えば、当然こちらのほうがまともに写る。フニャレンズの場合は100円のオモチャの双眼鏡のレンズを一枚使っただけのものだからだ。ただ凹レンズプラスの画像にも変な味わいがあるのは、撮影時に凹レンズを傾けながら撮っていたからだ。

私が勝手に面白がっているのは、レンズの収差の可能性が大きそうなのだが、ではその収差とは何なのだろう? 本来、ピントの合ったシャープな画像を得るためには、レンズを通った光線群は理想的な像点に集まって欲しいところだが、実際にはそうはならない。このように散らばり偏る現象のことを収差と言う。

この収差には種類がある。縦色収差、倍率色収差、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差など。こういった収差を押さえ込むために改良を重ねてきたのがレンズの歴史というわけだ。

フニャレンズの場合はこういった収差のオンパレードだったわけだが、凹レンズプラスの場合には、ちゃんとしたマクロレンズを使っているため収差は少なく、シフト化による歪みが、メインになるようだ。ただ、この歪みだけだとそんなには面白くない。いまいち味わい深くないのだ。本命ではないという感じ……。

凹レンズプラスの利点は、レンズ交換の出来る一眼レフに限らず、コンパクトカメラでもフィルタのような感じで使用できること。一眼レフに情けないフニャフニャレンズを付けるのに抵抗のある人でも、まあ手軽に試してみることが出来る方法だ。

同じようにして、フレネルレンズでも試してみた。フレネルレンズというのはシート状のレンズだが、老眼鏡のコーナーで見つけて買っておいた。要するに大きな凸レンズという感じだが、これを使えば手軽にクローズアップ撮影が楽しめる。

レンズが大きかったので、撮影はしやすかったのだが、描写自体にはいまいち美しさが感じられなかった。単純にレンズの前に翳すというだけではなく、フレア対策等も考えれば、もう少しマシになるかもしれないが、あんまりスジが良くないというイメージだ。単純にチープで変な感じの描写を求めているわけではないので、それなりの美しさも欲しい。そういう意味では残念ながら失格だ。

結局、私が求めているのは単にレンズをシフトさせた時の歪みということではないようだ。手軽にちょっと変わった描写を楽しむということでは、フィルタ代わりに凹レンズや凸レンズを翳してみるのも面白いが、私が求めているのは、この味ではない。では、いったい何収差なのか?

ソフトフォーカスレンズには、収差を利用したものがある。球面収差だけを意識的に大きくし、他の収差は普通のレンズと同じように押さえ込んだものだ。球面収差ではハローと呼ばれる独特の光の滲みが発生するので、逆にその効果だけを生かすようにしたというわけだ。

さらにユニークなレンズとしては、この球面収差のコントロールが可能な可変収差レンズというのも存在する。要するに球面収差の出し方を調整して、ソフトフォーカスの度合いが変えられるということだ。以前紹介した、ベス単もどきレンズでも絞りで、ハロー効果の変更が出来たが、可変収差レンズでは、たとえばレンコンのように穴があいたソフトネスコントローラーが付いていたりするのだ。

私が求めていたのもこの球面収差なのかな? という感じがしないではないのだが、ソフトフォーカスレンズの甘い描写は、ちょっときれい過ぎる。球面収差だけではなく、他の収差も若干加味したほうが良さそうだ。なーんて、自分でそんなものをコントロールできるような知恵もスキルもないのだが……。

フレネルレンズの描写に満足できなかったということは、もしかしたら、トイレンズではなく、ちゃんとしたレンズを使ったほうがいいのかもしれない。しかし、あまり整然とせずにラフっぽい感じも欲しい。なんだか見えてきたような、見えてこないような……。しかし、多少は前進してきているように思う。

なんかこういった実験をしてみると、改めて写真のレンズというのは凄いものなんだということが実感できる。単レンズを使った場合の解像感の無さや、ハッキリと出る色収差。それと比べ最新のいいレンズで撮影した場合の一点にキッチリとくるピントやボケ具合というのは驚異的と言ってもいい。人類の進歩が凝縮されているされているといっても良さそうだ。

でも、すごーく単純なレンズで、なんか面白い写真が撮れそうな気もする。

参考:「写真レンズの基礎と発展」小倉敏布(朝日ソノラマ)

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